令和3年度問題の解説 試験Ⅰ 問題1(13)
2021年12月14日(火) 23時22分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
この問題は語彙や文型だけではない慣用的な使われ方をとりあげたものです。 この問題は、文法的な差異というよりも、モダリティーの点から考えて、大きく異なっています。多くの「かぎる」は対象を限定するという意味ですが、この中に一つだけ、主観的に「これが最高だ」と言う意味で使っているものがあります。そうです、1番です。 ほかのものは意味的には何らかのルールのように読めますよね。 母語話者でない方には難しかもしれませんが、「~にかぎる」にはこのような使い方があります。ぜひご確認ください。 (この解説は令和3年度試験受験者の皆さんのために書いております。そうでない皆様には、悪しからずご理解をお願いいたします。)
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令和3年度問題の解説 試験Ⅰ 問題1(12)
2021年12月10日(金) 22時55分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
これも基本的な問題と考えていいと思います。 【「って」の用法】と書いてあります。この手のものは複数の用法のうち、用法の違いのあるものを選ぶという基本的なパタンの問題です。 さて、選択肢を眺めてみると、 「伝聞情報」であるものが多いと感じられると思います。 全部伝聞情報かな?と思うとそうではないとわかりますよね。 5の「全く本当にあなたって。」というのは、何か相手に対して呆れたという気持ちを表している表現です。 ほかのものは誰かが言ったことを別の人にそのまま伝える表現ですから、これが仲間外れと言うことになります。 この問題は、文法的な差異で説明することもできますが、それぞれがどんな意図で発話されるだろうかと考えて、一つに絞ることもできるでしょう。結局は発想の柔軟さが、迅速に正解を探すうえでは役に立ちます。過去問にあたることでそのようなトレーニングをしていただきたいと思います。 (この解説は令和3年度試験受験者の皆さんのために書いております。そうでない皆様には、悪しからずご理解をお願いいたします。)
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令和3年度問題の解説 試験Ⅰ 問題1(11)
2021年12月7日(火) 15時03分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
これも基本的な問題と考えていいと思います。 【「ような」の用法】と書いてあります。この手のものは複数の用法のうち、用法の違いのあるものを選ぶという基本的なパタンの問題です。 さて、 「N1ようなN2」を考えてみたときに、2種類の用法を思い浮かべることができるでしょうか。これが試験官が問っている問題の本質です。これは、通常「比況」と「例示」と呼ばれます。前者は「N1によく似たN2」という意味使われるのに対し、後者はN1がN2の例として使われます。この二つの用法を弁別する方法はいくつかありますが、「AのようなB」という形にしたときに、「AはBです」という文が同時に成り立つかどうかで考えてみてください。同時に成り立つなら例示ですし、成り立たないなら比況です。 1 「ライオンは肉食動物です。」⇒○ 2 「コロッケは洋食料理です。」⇒○ 3 「高級牛肉は大豆ミートです。」⇒× 4 「ジョギングは有酸素運動です。」⇒○ 5 「東京は大都市です。」⇒○ 以上を考えると3だけが×(つまり比況)で、他は○(つまり例示)だということになり、答えは3となります。 文法の違いを把握するのが苦手というかたも、多くいらっしゃると思いますが、日本人が疑問に思うことは当然学習者も疑問に思います。学習者の誤用や誤解が見られるときは、用法の違いを分かるように教えないといけません。その時のためにも常日頃から文法的な用語の整理と、その表現の特徴を整理しておくといいと思います。 (この解説は令和3年度試験受験者の皆さんのために書いております。そうでない皆様には、悪しからずご理解をお願いいたします。)
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令和3年度問題の解説 試験Ⅰ 問題1(10)
2021年12月3日(金) 23時42分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
これもしょっちゅう出てくる問題で、基本的な問題と考えていいと思います。 冒頭は【タ形の意味】と出ています。タ形は通常は過去形を表します。しかし、「さあ、どいた。どいた。」の時のタ形など、過去形とは言えないタ形の使い方があり、これを 「ムードの『タ』」と言ったりすることもあります。このことは比較的よく知られていると思います。 選択肢を「過去」を表しているかどうかで考えてみると、2の選択肢は、明らかに過去を表していません。(だって店は目の前にあるんですから)他のものは、少なくとも過去の事柄を指している文です。 そうなると、仲間外れは2で、答えは2となります。 (この解説は令和3年度試験受験者の皆さんのために書いております。そうでない皆様には、悪しからずご理解をお願いいたします。)
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令和3年度問題の解説 試験Ⅰ 問題1(9)
2021年11月30日(火) 00時15分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
これもしょっちゅう出てくる問題ですが、これまでの出題とはちょっとひねった出し方です。難問と考えていいでしょう。 冒頭は【「きる」の意味】と出ています。選択肢を見れば補助動詞の「きる」であることがわかるとおもいます。選択肢を見ると、1 「走りきる」、2 「使いきる」、3 「読みきる」、4 「信じきる」、5 「食べきる」となっています。 これまでの過去問では、複合動詞の前半と後半の関係が、①前半が動詞の本体部分で、後半の「きる」がアスペクトを表しているものと、②前半と後半がそれぞれ意味を持っていてその二つを組み合わせた動作を表すものとの比較でした。 今回はこの視点で見ると全部①ですので区別が分からなかった方も多いのではないでしょうか。 しかし、 これよく考えてみると「走りきる」には距離のように(目で見てわかるプロセスや対象物に対して、最後までその動作で働きかけて完了する)というものと、そうでないものに分けられるのにお気づきでしょうか。4は目で見てわかる対象がないです。一方で他のものは10キロメートル、ガソリン、200ページの本、3つのおにぎりなど、知覚できる対象があるのです。 そうなると、仲間外れは4、答えは4となります。 (この解説は令和3年度試験受験者の皆さんのために書いております。そうでない皆様には、悪しからずご理解をお願いいたします。)
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令和3年度問題の解説 試験Ⅰ 問題1(8)
2021年11月26日(金) 23時40分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
これもしょっちゅう出てくる基本的問題です。 注目点は【動詞の自他】と言っていますから、並んでいる動詞が自動詞か他動詞かを考えます。その際にそれぞれの動詞が要求する助詞も考えましょう。 そうなると、5「劣る」は他動詞がない、助詞が「に」となるというわけで、答えは5となります。 (この解説は令和3年度試験受験者の皆さんのために書いております。そうでない皆様には、悪しからずご理解をお願いいたします。)
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令和3年度問題の解説 試験Ⅰ 問題1(7)
2021年11月25日(木) 15時58分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
これはしょっちゅう出てくる基本的問題です。 注目点は【時間の直示】と言っていますから、ダイクシスにかかわるものです。 ダイクシスは発話の場面を知らない限りその指し示すものが何を指すのか具体的にわからないものを指します。「来年」はダイクシスです。発話の時点が~年とわからない限りその来年がいつかはわかりません。基準になっているのはその発話の時点です。 この中で2の「翌日」だけはダイクシスではありません。翌日は先行する文脈の指し示す時点が基準になっています。「去年の誕生日父からiphoneをもらった。翌日学校で見せびらかして、先生に怒られた。」なんて例を考えればわかるでしょう。 この問題は何度も似たような問題が出されています。鉄板だと思って取り組んでください。 (この解説は令和3年度試験受験者の皆さんのために書いております。そうでない皆様には、悪しからずご理解をお願いいたします。)
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令和3年度問題の解説 試験Ⅰ 問題1(6)
2021年11月24日(水) 22時50分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
これは語彙に関するちょっと難しめの問題です。 注目点は【名詞の場所性】と言っていますから、これらの中で「場所として機能するもの」ということになりますが、つい私たちは、「この中で日本語としての場所ってどれかしら?」と考えてしまうと悩みこんでしまいますし、時間も取られてしまいます。 しかし、思い出してください。皆さんはこの場に何のためにいるかというと、日本語教師の知識を証明するためにいるのです。つまり、日本語指導の題材としての場所の名詞が何かを答えることが求められているのです。 日本語教育の中で、「場所の名詞」といったら、「~で会う」(動作の行われる場所)、「~に行く」(目的地)、「~にある」(存在する場所)などという文型の「~」に入れるのにふさわしいものと考えればいいわけです。まずはそれぞれの選択肢を「~で待ってるよ」のような例文に入れてみる。しっくりくるかどうかを判別する。これであたりをつけられれば、それほど難問ではありません。答えは4となります。 (この解説は令和3年度試験受験者の皆さんのために書いております。そうでない皆様には、悪しからずご理解をお願いいたします。)
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令和3年度問題の解説 試験Ⅰ 問題1(5)
2021年11月22日(月) 09時22分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
これは語彙に関する基本的な問題です。選択肢の中で共通する【接頭辞「本」】に注目すると、「この」や「私が所属する」のような成分に置き換えられるものと、そうでないものに分けられます。 5の「本社」だけは、大きな会社の「メインオフィス」の意味で使われますので、これが仲間外れとなり、これが正解です。 受験生の皆さんにはこの手の問題を確実にゲットできるように準備することをお勧めします。 (この解説は令和3年度試験受験者の皆さんのために書いております。そうでない皆様には、悪しからずご理解をお願いいたします。)
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令和3年度問題の解説 試験Ⅰ 問題1(4)
2021年11月20日(土) 20時47分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
この問題は難問です。JEESさんの出す答えと異なっているかもしれませんが、当方の考え方だけご紹介します。 【合成語】と書いてあります。ですから通常だと、合成語の下位分類を聞いているのかと思われます。それぞれの形態素で分けて、さらに(畳語も本来なら候補に入るのですがこの中にはありませんので)派生語か複合語かに分けて考えます。複合語は二つ以上の独立した意味を持つ語が結びついたもので、派生語は中心の部分の語に接辞が付いたものです。 そう考えると複合語は2番しかないと思います。「同窓(どうそう)」と「会(かい)」はそれぞれが独立の語として成り立つのですが、他の選択肢はそうなりません。会議室は「会議」と「室」に分けられますが、「室(しつ)は独立の語として成り立つか」と聞かれたら、やはりそうではないでしょう。 おそらくこの問題に接した方は「なんとなく気分が悪くて一度ならず見直した」と言う方が多いと思います。しかし、それが出題者の狙いです。気になる人はとりあえずマークをつけて、最後まで解答記入が終わってから見直してくださいね。
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