令和2年度問題解説(17) 試験Ⅰ問題2(2)異なる種類の誤用
2021年7月23日(金) 09時34分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
問題は凡人社刊の冊子をご覧ください。 この誤用は動詞と格助詞の関係に問題があるとわかります。この手の誤用は確かに非常に多いです。「参加する」という動詞は他動詞に見えますが目的語は「ニ格」を要求します。選択肢を見ると、 「を」を「に」に変えると問題がなくなるものが3つありますが、2だけはこのように変えても変ですね。「参考にする」とすればいいのですが、格助詞の置く場所が目的語の直後ではありません。したがって2が「仲間外れ」つまり正解となります。 選択肢の特定の部分を何かに変えると仲間外れが見えてくるということはよくありますので、この方法をぜひお試しください。
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令和2年度問題解説(16) 試験Ⅰ問題2(1)異なる種類の誤用
2021年7月22日(木) 09時22分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
問題は凡人社刊の冊子をご覧ください。 問題2は誤用の本質をとらえる能力が問われます。 最初の(1)はいつも発音の問題です。発音の問題は「仮名にする」あるいは「アルファベットにする」ということでとらえられます。「そのへん(sono hen)」が「そのえん(sonoen)」になってしまったわけですから 子音の[h]が脱落していることがわかります。これを他に当てはめてみると1,2,3は同様の誤用です。 一方4は「せんえん(sen-en)」が「せんねん(sen-nen)」に聞こえるわけですから、「せん」の撥音のNが後ろの母音とくっついて発音されていることが問題だとわかります。 ですので仲間外れは4ということになります。
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令和2年度問題解説(15) 試験Ⅰ問題1(15) ダイクシス(直示)
2021年7月6日(火) 00時02分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
問題は凡人社刊の冊子をご覧ください。 直示というのは、「語用論において意味が文脈に依存して初めて決まる語あるいは言語表現。 つまり同じ表現であっても、視点の置き方によって具体的な意味が異なるもの」を指します。「あれ」や「この」などが代表的なもので、その場にいないと具体的に何を指すか判別できないもののことです。 この問題では発話者から見て指示されたものであるものは直示ですが、3番だけは「そこ」が指示しているものが「駅」であることが明らかなのでこれが答えとなります。ちなみにこれは「文脈指示」と言います。 直示の問題でよく出されるのが「来週」と「翌週」です。来週は常に発話時を基準としていますのでこれが直示(ダイクシス)の表現、一方で「翌週」のほうはそれまでの文脈である時点が特定されてその時点から見て次の週をさしますので、これは文脈指示です。 苦手な方は多いのですが、これは慣れればなんともない問題です。ぜひ準備してください。
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令和2年度問題解説(14) 試験Ⅰ問題1(14)
2021年7月1日(木) 14時22分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
問題は凡人社刊の冊子をご覧ください。 この問題は比較的簡単な問題です。下線部の「と」を他の表現で置き換えられないかと考えます。今回は「といっしょに」に置き換えてみましょう。そうすると5だけがおかしい、というより別の意味になってしまうことがわかると思います。 「ジョンとポールがけんかをした」というのはジョンVSポールの関係で、二人が相手を攻撃するという関係です。一方で「ジョンといっしょにポールがけんかをした」となると、これはジョンとポールは友軍の関係になってしまい、意味が変わってしまうのです。 他の選択肢は「と」が「といっしょに」になっても意味は変わりません。 というわけで正解は5となります。
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令和2年度問題解説(13) 試験Ⅰ問題1(13)
2021年6月26日(土) 14時14分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
問題は凡人社刊の冊子をご覧ください。 これは身体部位を使った表現についての設問ですが、比較的簡単な問題と言えると思います。 「悪事に手を染める」といっても実際に手が汚れたり、色がついたりするわけではありませんよね。つまり、身体的部位を使った表現は、多くが隠喩(メタファー)的な意味で使われるのです。「手」を使ったものでも「手を組む」(友好関係に入る)、「手をあげる」(何らかの積極的意思表明をする)、「手を切る」(関係を断つ)などは本当に手を使った動作を行うわけではありません。 選択肢を見てみると1,2,4,5が上記のようなメタファーの表現ですが、3だけは本当に足を洗うという動作を指しています。したがって3が正解となります。
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令和2年度問題解説(12) 試験Ⅰ 問題1 (12)
2021年6月24日(木) 22時17分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
問題は凡人社刊の冊子をご覧ください。 この問題は難問の部類にはいる問題だと思います。 「ば」を使った条件節の分類ですが、他の表現に置き換えるというような方法では解けないですね。かなり学術的な知識がないと解けないと思います。 この条件が意味としてどんな違いがあるかを考えると、1だけは「ほったらかしにしておいても時間さえ立てば確実に訪れる未来」であるのに対して、他は仮定的な未来、つまり、「誰かが何かしない限り出現しない未来」とみることができます。したがって1が答えです。 ちなみに法律関係の基本的な知識のある方なら解けたかもしれません。これはちょうど民法における「期限」と「条件」の違いに当たるからです。(法律の用語では「何月何日」とか「Aさんが死亡する時点」は「期限」に当たり、「もしAが司法試験に合格したら」というのは「条件」に当たります。) 使用される言語形式が異なるなら、このような条件の性質に差異を見出すことは大切かもしれませんが、この問いの場合、どの選択肢も正用の文で、同じ形式「ば」を用いた文です。実務家である日本語教師の資格試験において、ここまで問うのが妥当なのでしょうか。不必要な難問、悪問であるというのが私の意見です。 このような問題がでたら、とりあえずどこかに丸を付けて先に進んでください。いつまでも悩むのは最悪の結果につながります。 それでは。
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令和2年度問題解説(11) 試験Ⅰ問題1(11)「てくる」の用法
2021年6月20日(日) 12時25分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
問題は凡人社刊の冊子をご覧ください。 この問題は日本語文法の比較的基本的な知識、というか考え方を問う問題だと思います。 まず、「~てくる」という表現は「どこかへ行ってまたここに戻ってくる」という意味のほかに、その動作が自分(話し手)の方向に近づいてくる様子を表します。この選択肢ではいずれも自分の方向に近づいてきますが、1~4は物理的(空間的)に近づいてくるのに対して、5は時間的な意味で近づいてくるという意味を表しています。つまり、5は「以前は暖かくなかったけれど、今は暖かくなった」という意味を表しています。したがって5が正解となります。これは比較的基本的な問題と言えると思います。
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令和2年度問題解説(10) 試験Ⅰ問題1(10)肯定否定の対立
2021年6月17日(木) 23時12分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
問題は凡人社刊の冊子をご覧ください。 この問題もよくあるタイプの問題です。とにかく【 】内の言葉に従って選択肢の言葉を変えてみましょう。そうすると、1などは「あいさつします」「あいさつしません」のように普通の肯定否定の関係になりますが、4だけなんか変な感じがすると思います。「失礼します」と「失礼しません」というのはどうもペアとして変な感じがしますよね。ここは「失礼する」というのが普通のサ変動詞ではなく、「さようなら」という意味の特別のあいさつとしての表現だからと考えることができるのではないでしょうか。そのために否定形がなんともすわりの悪い言葉に感じられるのです。 というわけで、正解は4となります。
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令和2年度問題解説(9) 試験Ⅰ問題1(9)「とても」の意味
2021年6月12日(土) 22時29分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
問題は凡人社刊の冊子をご覧ください。 この問題はよく出てくるタイプの問題です。また回答の仕方もある程度パターン化されていると考えていいです。 まず、「とても」という副詞を考えたときに、veryという意味の程度副詞で考えるか、「とても~ない」、つまり、「到底~ない」という文脈を持った陳述副詞のとしてとらえるか(というよりそういう意味の表現の一部としてとらえるか)という違いがあります。 解き方としては何か別の表現と入れ替えて、不自然さがあるかないかで考えます。 今回の場合「とてもじゃないけど」と置き換えてみましょう。 そうすると、1,3,4,5はすんなり置き換えられますが、4だけは「とてもじゃないけど面白くない」となり、どうも引っ掛かりますよね。 というわけで、これだけが×となります。 別の日本語で置き換えるという方法で解ける問題は結構あります。どうぞお試しください。
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令和2年度問題解説(8) 試験Ⅰ問題1(8)ニ格名詞句の意味
2021年6月7日(月) 16時57分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
助詞「に」を他の表現で置き換えられないかと考えてください。 ここでは「から」と置き換えてみましょう。そうすると 1、2、3、5は置き換えられますが、4は置き換えられません。 したがって、答えは4となります。 別の日本語で言い換えてみて、他のものは言い換えられるけれど、これだけは言い換えられないというのを見つけるのも、この手の問題を解く上でよく使う方法です。
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