令和3年度問題の解説 試験Ⅰ 問題1(9)
2021年11月30日(火) 00時15分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
これもしょっちゅう出てくる問題ですが、これまでの出題とはちょっとひねった出し方です。難問と考えていいでしょう。 冒頭は【「きる」の意味】と出ています。選択肢を見れば補助動詞の「きる」であることがわかるとおもいます。選択肢を見ると、1 「走りきる」、2 「使いきる」、3 「読みきる」、4 「信じきる」、5 「食べきる」となっています。 これまでの過去問では、複合動詞の前半と後半の関係が、①前半が動詞の本体部分で、後半の「きる」がアスペクトを表しているものと、②前半と後半がそれぞれ意味を持っていてその二つを組み合わせた動作を表すものとの比較でした。 今回はこの視点で見ると全部①ですので区別が分からなかった方も多いのではないでしょうか。 しかし、 これよく考えてみると「走りきる」には距離のように(目で見てわかるプロセスや対象物に対して、最後までその動作で働きかけて完了する)というものと、そうでないものに分けられるのにお気づきでしょうか。4は目で見てわかる対象がないです。一方で他のものは10キロメートル、ガソリン、200ページの本、3つのおにぎりなど、知覚できる対象があるのです。 そうなると、仲間外れは4、答えは4となります。 (この解説は令和3年度試験受験者の皆さんのために書いております。そうでない皆様には、悪しからずご理解をお願いいたします。)
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令和3年度問題の解説 試験Ⅰ 問題1(8)
2021年11月26日(金) 23時40分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
これもしょっちゅう出てくる基本的問題です。 注目点は【動詞の自他】と言っていますから、並んでいる動詞が自動詞か他動詞かを考えます。その際にそれぞれの動詞が要求する助詞も考えましょう。 そうなると、5「劣る」は他動詞がない、助詞が「に」となるというわけで、答えは5となります。 (この解説は令和3年度試験受験者の皆さんのために書いております。そうでない皆様には、悪しからずご理解をお願いいたします。)
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令和3年度問題の解説 試験Ⅰ 問題1(7)
2021年11月25日(木) 15時58分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
これはしょっちゅう出てくる基本的問題です。 注目点は【時間の直示】と言っていますから、ダイクシスにかかわるものです。 ダイクシスは発話の場面を知らない限りその指し示すものが何を指すのか具体的にわからないものを指します。「来年」はダイクシスです。発話の時点が~年とわからない限りその来年がいつかはわかりません。基準になっているのはその発話の時点です。 この中で2の「翌日」だけはダイクシスではありません。翌日は先行する文脈の指し示す時点が基準になっています。「去年の誕生日父からiphoneをもらった。翌日学校で見せびらかして、先生に怒られた。」なんて例を考えればわかるでしょう。 この問題は何度も似たような問題が出されています。鉄板だと思って取り組んでください。 (この解説は令和3年度試験受験者の皆さんのために書いております。そうでない皆様には、悪しからずご理解をお願いいたします。)
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令和3年度問題の解説 試験Ⅰ 問題1(6)
2021年11月24日(水) 22時50分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
これは語彙に関するちょっと難しめの問題です。 注目点は【名詞の場所性】と言っていますから、これらの中で「場所として機能するもの」ということになりますが、つい私たちは、「この中で日本語としての場所ってどれかしら?」と考えてしまうと悩みこんでしまいますし、時間も取られてしまいます。 しかし、思い出してください。皆さんはこの場に何のためにいるかというと、日本語教師の知識を証明するためにいるのです。つまり、日本語指導の題材としての場所の名詞が何かを答えることが求められているのです。 日本語教育の中で、「場所の名詞」といったら、「~で会う」(動作の行われる場所)、「~に行く」(目的地)、「~にある」(存在する場所)などという文型の「~」に入れるのにふさわしいものと考えればいいわけです。まずはそれぞれの選択肢を「~で待ってるよ」のような例文に入れてみる。しっくりくるかどうかを判別する。これであたりをつけられれば、それほど難問ではありません。答えは4となります。 (この解説は令和3年度試験受験者の皆さんのために書いております。そうでない皆様には、悪しからずご理解をお願いいたします。)
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令和3年度問題の解説 試験Ⅰ 問題1(5)
2021年11月22日(月) 09時22分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
これは語彙に関する基本的な問題です。選択肢の中で共通する【接頭辞「本」】に注目すると、「この」や「私が所属する」のような成分に置き換えられるものと、そうでないものに分けられます。 5の「本社」だけは、大きな会社の「メインオフィス」の意味で使われますので、これが仲間外れとなり、これが正解です。 受験生の皆さんにはこの手の問題を確実にゲットできるように準備することをお勧めします。 (この解説は令和3年度試験受験者の皆さんのために書いております。そうでない皆様には、悪しからずご理解をお願いいたします。)
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令和3年度問題の解説 試験Ⅰ 問題1(4)
2021年11月20日(土) 20時47分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
この問題は難問です。JEESさんの出す答えと異なっているかもしれませんが、当方の考え方だけご紹介します。 【合成語】と書いてあります。ですから通常だと、合成語の下位分類を聞いているのかと思われます。それぞれの形態素で分けて、さらに(畳語も本来なら候補に入るのですがこの中にはありませんので)派生語か複合語かに分けて考えます。複合語は二つ以上の独立した意味を持つ語が結びついたもので、派生語は中心の部分の語に接辞が付いたものです。 そう考えると複合語は2番しかないと思います。「同窓(どうそう)」と「会(かい)」はそれぞれが独立の語として成り立つのですが、他の選択肢はそうなりません。会議室は「会議」と「室」に分けられますが、「室(しつ)は独立の語として成り立つか」と聞かれたら、やはりそうではないでしょう。 おそらくこの問題に接した方は「なんとなく気分が悪くて一度ならず見直した」と言う方が多いと思います。しかし、それが出題者の狙いです。気になる人はとりあえずマークをつけて、最後まで解答記入が終わってから見直してくださいね。
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令和3年度問題の解説 試験Ⅰ 問題1(3)
2021年11月19日(金) 21時51分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
試験Ⅰ 問題1(3)については次のようにお考え下さい。 これはローマ字表記の基本的な問題です。 ローマ字表記は3種類あるのですが、一般的にはヘボン式と訓令式の違いを問われる問題が多いです。 今回もこの二つの違いを問う問題です。 駅の表示やパスポートの名前の表記は現在ではヘボン式が多いので、普通の場面で慣れ親しんだ表記が ヘボン式です。 「しゃ」をsha書くのがヘボン式、syaと書くのが訓令式です。1 「つ」はtsuがヘボン式、tuが訓令式。 2 「しゃ」はshaがヘボン式 tsuがヘボン式、tuが訓令式。 3 「ち」はchiがヘボン式、tiが訓令式。 4 「し」はshiがヘボン式、siが訓令式。 5 「ふ」はfuがヘボン式、huが訓令式。 したがって 2だけが訓令式、他がヘボン式で、2が仲間外れだからこれが答えとなります。 これも基本的な問題と考えて結構です。
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令和3年度問題の解説 試験Ⅰ 問題1(2)
2021年11月18日(木) 22時13分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
試験Ⅰ 問題1(2)については次のようにお考え下さい。 まず拍であれば、全部ひらがなにして直音、撥音(ん)、促音(小さい「っ」)は一文字で一拍、拗音は「き」などの文字と小さい「ゃ、ゅ、ょ」を合わせて一拍と数えます。 そうすると、1こ/く/ば/ん(4拍)、2きょ/う/し/つ(4拍)、が/っ/こ/う(4拍)、け/っ/せ/き(4拍)、け/ん/が/く(4拍)となります。 一方で音節のとらえ方は母音の数を数え、二重の母音(長母音)は一つと数えます。 1 ko/ku/ban(3音節)、2 kyo/shi/tsu(3音節)、3 gak/koo(2音節)、4 kes/seki(3音節)、5 ken/ga/ku(3音節) そう考えると、拍だと全て4拍で、音節だと3だけが2音節、他は3音節となりますので、 3が答えと言うことになります。 これは難問とは言えません。基本的な知識を問っている問題です。こういう問題は落とさないように気をつけてください。
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令和3年度問題の解説 試験Ⅰ 問題1(1)
2021年11月17日(水) 16時26分 カテゴリ: 日本語教育能力検定試験
ご無沙汰しておりまして申し訳ありませんでした。 ようやく時間ができましたので 本日から令和3年度問題の問題解説をします。 主催者のJEESさんの正解と合わないものが出るかもしれませんが、その際はまた訂正させていただきます。(きっと出るでしょう。大手だってそんなのいくつもありますから。) 最初は毎度のことながら国際音声記号の問題です。著作権の関係で 選択肢は1「シの子音」、2「ヒの子音」、3「日本語にはない「テュ」のような子音」 4「サンタの「ン」」、5「ヤ行音の子音」となります。 これは【口蓋音】となっているので、 調音点が口蓋音であるかどうかで判断します。 そうすると1「シ」だけが歯茎硬口蓋音、ほかが硬口蓋音です。歯茎硬口蓋は硬口蓋とは別の調音点ですので、おそらく1が答えだろうと思います。 初っ端から難問ですね。 何よりもこんなところで悩みこまないことが大切です。 それでは。
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